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社長インタビューテーマ:社長の成功談・失敗談インタビュー
株式会社LightBridge カトフ レドワン の社長インタビュー
2026年07月23日
社長になったきっかけは?
私はモロッコで生まれ、大学卒業後にカナダのラヴァル大学で光通信の研究に入り、日本の文部科学省国費留学生として来日して筑波大学大学院で博士(工学)を取得しました。その後、情報通信研究機構(NICT)や横浜国立大学で研究教員として光通信・フォトニック集積回路の研究に携わってきました。
研究を続けるなかで強く感じていたのは、「日本には世界に誇れる光技術があるのに、それが論文や研究止まりで、なかなか産業や社会に届いていない」という現実でした。特に代理店型のビジネスでは、専門的な技術と実際に使うエンジニアの間で会話がかみ合わず、本当に必要な支援が届きにくい。「技術を深く理解した人間が、顧客と同じ言語で会話しながら、開発の最前線に伴走するビジネスが必要だ」と痛感したのです。
その想いから、2015年に株式会社LightBridgeを立ち上げました。研究者としての知見を社会実装につなげ、日本のフォトニクス産業の力になりたい――それが起業の原点です
どんな仕事をしている会社ですか?
株式会社LightBridgeは、光の技術(フォトニクス)を使ったモノづくりを、設計から試作まで一気通貫で支える会社です。東京・中野に本社を置き、通信・自動車・医療・研究機関など幅広い分野のお客様と一緒に、次世代の光デバイスを生み出しています。
具体的な事業は大きく3つあります。ひとつめは、米Ansys社の光学シミュレーションソフトウェア(Lumerical・Zemax・Speos)を、日本語での技術サポート付きで販売・導入支援すること。導入企業は100社を超え、業界内訳は通信40%・自動車25%・研究機関25%・医療10%です。ふたつめは、光集積回路(PIC)の設計支援と、オランダのSmart Photonics、スイスのLIGENTECといった欧州の一流ファウンドリと連携したMPW(マルチプロジェクトウェハ)試作サービスです。従来数千万円かかっていた試作コストを約10分の1まで下げ、中小企業やスタートアップでも本格的な光デバイス開発に挑戦できる環境を提供しています。みっつめは、自社開発のフォトニクス設計プラットフォーム「Photonica」の開発です。
掲げているのは「フォトニクス設計環境の民主化」。光の技術を、一部の限られた研究者だけのものではなく、より多くのエンジニアや企業が使いこなせるものへ広げていくことをミッションにしています。
成功談を聞かせてください!
一番の誇りは、創業から11年間、お客様との長期的な信頼関係を積み重ねてこられたことです。当社は「モノを売って終わり」の会社ではなく、博士号を持つ技術者が直接お客様と同じ言語で対話し、設計のアプローチそのものにアドバイスをする「一心同体型」のスタイルを貫いてきました。その結果、導入企業は100社を超え、通信・自動車・医療・研究機関と幅広い領域でお使いいただけるようになりました。
技術面での成功事例として特に手応えを感じているのは、MPW試作サービスとシミュレーションを組み合わせたことで、お客様の試作回数を1案件あたり4〜6回から1〜2回へ、開発期間を6〜12ヶ月から2〜4ヶ月へ、試作コストを500〜1,500万円から200〜500万円へ削減できたことです。これは単なるコストダウンではなく、これまで参入すら難しかった中小企業やスタートアップが、光デバイス開発の土俵に上がれるようになったことを意味しています。
また、Ansys(米国)・Smart Photonics(オランダ)・LIGENTEC(スイス)といった世界のトッププレイヤーと連携し、日本と欧米をつなぐ国際フォトニクス・エコシステムを構築できたことも大きな成果です。国費留学生として日本に来た自分が、今度は日本と世界の橋渡しをする側になれたことに、大きなやりがいを感じています。
失敗談を聞かせてください!
創業当初は「良い技術を持っていれば伝わるはずだ」と思い込みすぎていたと反省しています。私は研究者出身なので、シミュレーションソフトの性能やフォトニクスの技術的優位性を丁寧に説明すれば、お客様に価値が伝わるはずだと考えていました。しかし現実には、マーケティング力の強い競合が先に選ばれてしまい、「正しい情報」よりも「伝わる情報」の方が強い、という当たり前のことに苦しみました。技術者としては悔しい経験でしたが、専門性を分かりやすく翻訳して届ける努力を怠ってはいけない、と学んだ出来事です。もうひとつは、会社形態の選択で信用面の壁にぶつかったことです。当初は身軽さを優先して合同会社としてスタートしましたが、大手企業や研究機関との取引を進める中で、「株式会社でないと社内稟議が通しにくい」という声を何度もいただきました。技術で勝負したいという想いとは別のところで機会損失が発生していた事実を受け止め、2025年に株式会社へ改組しました。「事業の中身がどれだけ良くても、社会からどう見えるかを設計しないと届かない」という、経営者として大事な教訓になっています。
これから起業する人に向けてメッセージをお願いします!
私は研究者から起業家に転身するとき、「専門を捨てるのか」と何度も自問しました。でも今振り返って伝えたいのは、自分の専門性は捨てるものではなく、社会に橋を架けるための最大の武器になるということです。研究の現場で見てきた課題、悔しさ、可能性――それこそが、他の誰にも真似できないあなただけの起業テーマになります。
一方で、良い技術や良いサービスは「勝手には広がらない」というのも現実です。マーケティング、信用づくり、パートナーシップ、そして自分たちの物語をどう社会に届けるか。技術と同じくらい真剣にコミュニケーションを設計してください。私自身、合同会社から株式会社への改組や、noteやSDGsを軸とした情報発信など、伝え方を磨くための投資を続けています。
そしてもうひとつお伝えしたいのは、一人で全部やろうとしないことです。当社は日本・欧州・北米にまたがる多国籍チームとパートナーで成り立っています。国境も分野も越えて仲間を集められる時代です。あなたの専門と、あなたにしか語れない想いを大切に、ぜひ一歩を踏み出してください。日本のものづくりの未来は、そういう挑戦者の積み重ねで必ず明るくなると信じています。
https://lightbridge.co.jp/

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